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更地にすると固定資産税が高くなる?計算方法や安くする方法を解説
こんにちは。神奈川県横浜市で解体業をしております、株式会社サンライズのブログ担当です。
所有している不動産の固定資産税について、その建物を解体して更地にした場合はどうなるのか、気になる方もいるかと思います。また、更地を既に保有している方は更地の場合と建物を立てた場合で固定資産税がどのように変化するのかも気になるでしょう。
この記事では、更地の場合の固定資産税の計算方法から更地と都市計画税との関係性、更地の固定費資産税を安くする方法などについて解説してまいります。
目次
更地の固定資産税の計算方法
更地とは、建物が建っていない土地のことを指します。一方、住宅用地とは、人が住むための家屋が建てられている土地のことを指す言葉です。
一般的に、更地の固定資産税は、住宅用地の固定資産税と比べて3倍から4倍程度高くなりえます。これは、「住宅用地の特例」が適用されないためです。
下記にそれぞれの固定資産税の計算方法をシミュレーションで解説します。
更地と住宅用地での固定資産税計算方法
住宅用地の特例とは、人が住むための家屋が建てられている土地の固定資産税を軽減する措置です。具体的には、課税標準額の6分の1が特別控除されます。
一方、更地は住宅用地の特例の対象ではないため、課税標準額の3分の1しか控除されません。課税標準額とは、固定資産税を計算する際の基礎となる金額で、通常は「固定資産評価額」の70%です。
固定資産評価額は、3年に1度、市町村が基準地価に基づいて算定します。下記に例を記載しますので、参考にしてみてください。
固定資産税算出のための前提条件
固定資産評価額が1,000万円の場合、更地と住宅用地の固定資産税は以下のようになります。
更地の固定資産税計算方法
課税標準額:1,000万円 × 70% × 3分の1 = 230万円
固定資産税:230万円 × 1.4% = 32,200円
住宅用地の固定資産税計算方法
課税標準額:1,000万円 × 6分の1 = 166万円
固定資産税:166万円 × 1.4% = 23,240円
上記のとおり、更地の固定資産税は、住宅用地の固定資産税の約1.5倍となります。上記の通り、更地の場合は住宅用地の場合と比べて、固定資産税が高くなるのです。
しかしながら、住宅用地の種類で課税標準額の算定方法が異なる場合があります。詳細は、所有されている不動産がある市町村のホームページなどでご確認ください。
固定資産税以外にも都市計画税の支払いが必要
都市計画税とは
更地か住宅用地かに関わらず、固定資産税以外にも「都市計画税」という税金にも気を付けないといけません。都市計画税は、都市の公共施設の整備や維持管理に必要な経費をまかなうために課される税金です。
都市計画税は固定資産税と同様に、土地と建物に対して課税されます。対象は都市計画区域に所有されている建物や土地です。
都市計画区域とは、将来都市として発展していくことが望ましいと判断された区域で、市町村が定めています。具体的には、以下の要件を満たす区域が都市計画区域に指定されます。
〇人口が密集している
〇公共施設等が整備されている
〇将来の都市としての発展が見込まれる
都市計画区域は、市街化区域、市街化調整区域、都市計画区域区分未定区域の3種類に区分されます。
〇市街化区域:既に市街化が進んでいる区域で、住宅や商業施設などが密集している。
〇市街化調整区域:将来市街化されることが見込まれる区域で、農地や山林などが広がっている。
〇都市計画区域区分未定区域:将来の都市計画の決定を待つ区域で、上記2つの区域のいずれにも該当しない区域。
繰り返す通り、都市計画税の適用対象となるのは、原則として市街化区域内にある土地と建物です。ただし、市街化調整区域のうち条例で定める区域及び区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域)で条例で定める区域についても、都市計画税が課税される場合があります。
また、宗教法人、公益法人などが所有する土地や建物などの非課税対象物や、災害で被災した土地や建物などの減免措置がなされている場合は、都市計画税の対象とならない場合があります。
更地の都市計画税は、固定資産税評価額の3%です。つまり、固定資産評価額が1,000万円の場合、都市計画税は30,000円となります。
【例】
固定資産評価額が1,000万円の更地の場合、固定資産税と都市計画税は以下のようになります。
都市計画税:1,000万円 × 3% = 30,000円
しかしながら、都市計画税の場合は更地でも住宅用地でも税額は変わらないのかと気になる方も多いと思います。結論、こちらでも更地と住宅用地では都市計画税の税額は変わります。
住宅用地であれば、住宅用地の特例が適用され、都市計画税が軽減されるのです。住宅用地の特例では、都市計画税の課税標準額が3分の2に軽減されます。
【例】
固定資産評価額が1,000万円の住宅用地の場合、都市計画税は以下のようになります。
都市計画税課税標準額:1,000万円 × 3分の2 = 666万6666円
都市計画税:666万6666円 × 0.3% = 20,000円
上記のとおり、更地の場合の都市計画税30,000円に対して、住宅用地の場合は20,000円と10,000円も軽減されます。
固定資産税と都市計画税の合計
更地を保有している場合、都市計画税と固定資産税は両方とも払う必要があります。都市計画税は、都市の公共施設の整備や維持管理に必要な経費をまかなうために課される税金です。
固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課される税金になります。2つの税金は目的が異なるのです。
既にお分かりかと思いますが、更地と住宅用地・建物では、固定資産税と都市計画税の合計額が大きく異なります。住宅用地の特例では、固定資産税と都市計画税の課税標準額がそれぞれ大きく軽減されるのです。
対象 | 課税標準額 | 固定資産税 | 都市計画税 | 合計 |
更地 | 1,000万円 × 70% ×1分の3 = 230万円 | 230万円 × 1.4% = 32,200円 | 1,000万円 × 0.3% = 30,000円 | 62,200円 |
住宅用地 | 1,000万円 × 6分の1 = 166万6667円 | 166万6667円 × 1.4% = 23,333円 | 166万6667円 × 0.3% × 2分の3 = 16,667円 | 40,000円 |
しかしながら、更地と住宅用地以外にも、建物の種類で課税標準額の算定方法が異なる場合があります。詳細は、所有されている不動産がある市町村のホームページなどでご確認ください。
土地の価値が上がってしまった場合はどうなる?負担水準とは
負担水準
地価が上昇している地域で不動産や更地を所有している方が気を付けたいのは、固定資産税負担も大幅に増加する可能性です。そこで、負担水準という指標を用いて、地価上昇による税負担の急増を抑制する必要があります。
負担水準とは、固定資産税を課税する際に用いられる指標であり、個々の土地の課税標準額が評価額に対してどの程度の水準まで達しているかを示すものです。具体的には、以下の式で算出されます。
負担水準 = 前年度課税標準額 ÷ 本年度評価額
【例】
前年度の課税標準額:1,000万円
本年度の評価額:2,000万円
この場合、負担水準は0.5となります。
この場合、負担水準は0.5となります。
負担水準は、地価の動向に対応し、税負担を軽減する目的で講じられた措置です。負担水準は、以下の役割を果たします。
〇地価上昇による税負担の急増を抑制する
〇固定資産税の課税を公平化する
〇土地所有者の負担感を軽減する
負担水準と固定資産税
負担水準に応じて、固定資産税の課税標準額が決定されます。一般的には、負担水準が低いほど、固定資産税の課税標準額が引き上げられ、負担水準が高いほど、固定資産税の課税標準額が据え置かれるのです。
具体的には、市町村ごとに負担水準区分と負担調整率が定められています。負担水準区分は、負担水準を一定の範囲で区切ったものであり、負担調整率は、負担水準区分ごとに定められた課税標準額の引き上げ率です。
【例】
市町村で以下の負担水準区分と負担調整率が定められている場合を考えます。
前年度の課税標準額が1,000万円で、本年度の評価額が2,000万円の場合、負担水準は0.5となります。
この場合、負担水準区分は0.4~0.6に該当し、負担調整率は0.6となります。
よって、本年度の課税標準額は、以下の通り計算されます。
課税標準額 = 前年度課税標準額 × (1 + 負担調整率) = 1,000万円 × (1 + 0.6) = 1,600万円
負担水準によって、課税標準額は以下の通り決定されます。
〇負担水準が70%を超える場合:当年度の評価額の70%を課税標準額とする
〇負担水準が60%~70%の場合:前年度の課税額をそのまま据え置く
〇負担水準が60%未満の場合:前年度の課税標準額に当年度の評価額の5%を加算した額を課税標準額とする
一般的に、前年度の課税標準額と当年度の評価額の差は大きくないため、負担水準は70%を超えることが多いです。つまり、更地の固定資産税は、ほとんどの場合、評価額に70%を乗じた金額となります。
【例】
当年度の評価額:1,000万円
前年度の課税標準額:700万円
この場合、負担水準は70%となり、課税標準額は1,000万円 × 70% = 700万円となります。
所有している土地の価値が急激に上がっている場合には、負担水準を用いた負担調整について、さらに調べて見ると良いでしょう。
【注意】空き家の固定資産税は住宅用地の特例の適用外?
住宅用地は更地に比べて、住宅用地の特例のおかげで固定資産税が低くなる場合が多いことは説明しました。しかし、この特例は「特定空家等」に該当する空き家には適用されません。
特定空家の定義
特定空家とは、著しい破損等により通常の居住にひどい支障がある状態、長期間にわたり放置されている状態、適切な管理が行われていない状態など、一定の要件を満たす空き家を指します。
2015年9月には「空き家対策特別措置法(以下、空家法)」が政府により施行され、空き家に対する行政による調査が可能になりました。そこで、周辺の生活環境に著しく悪影響を与える恐れがあると判断された空き家は「特定空家」に認定されます。
特定空家の基準
具体的な基準として、次の状態が1つでも当てはまると、自治体から「特定空家等」と認められます。
(1)倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
(2)アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
(3)適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
(4)その他、立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
「特定空家等」に認定されてしまうと、自治体は所有者の方に適切に管理をするように助言や指導を行行わなければなりません。そのうえ、改善がなされない場合は「勧告」や「命令」が行われます。
そして、所有者がその命令等に従わない場合には、なんと最大50万円以下の過料に処されることや、行政代執行などの罰則があるので注意しましょう。(空家法第14条、第16条)
参照:平成二十六年法律第百二十七号 空家等対策の推進に関する特別措置法
上記のような特定空家等に該当する空き家は、住宅用地の特例が適用されず、固定資産税が軽減されない可能性があるのです。特定空き家などを詳しく解説する記事が下記になりますので、是非参考にしてください。
更地の固定資産税を安くする方法
更地の固定資産税を安くする方法はあるのか、ここまでを読んでいただいたみなさまも気になるかと思います。ここでは、更地の固定資産税を安くするために考えられる方法を解説するので参考にしてください。
住宅を建てる
更地を住宅用地に用途変更し、住宅を建てることで、住宅用地の特例が適用され、固定資産税が大幅に軽減されます。そのうえで、もし所有されている更地が広い場合は共同住宅を建てることも選択肢の1つです。
それは、小規模住宅用地という制度を活用できるからです。小規模住宅用地とは、住宅用地で住宅1戸につき500平米までの部分まで適用される制度になります。
つまり、2戸なら1,000平米、3戸なら1,500平米までの広さの土地に小規模住宅用地が適用されるのです。
【例】
500平米の土地に、一戸建てと4戸のアパートを建てた場合を比較してみます。
〇一戸建ての場合
500平米の土地全体が一般住宅用地となり、課税標準額は固定資産税評価額の3分の1になります。
〇アパートの場合
4戸のアパートは、2,000平米(=4戸×500平米)までの土地に小規模住宅用地が適用されます。
今回の例では、土地の面積は500平米であるため、500平米全体に小規模住宅用地が適用されます。つまり、全体の土地の課税標準額は固定資産税評価額の6分の1となるため、アパートの方が固定資産税が大幅に軽減されます。
このように、もし所有している土地が広い場合は、共同住宅を建てることで、敷地全体に小規模住宅用地を適用できる可能性が高くなります。しかしながら、共同住宅を建てる際には管理費や修繕費が必要です。
また、入居者募集や空室対策などの管理についても必要です。土地活用として、しっかり調べたうえで検討しましょう。
更地の売却
更地となっている土地を売却することも、固定資産税の負担から解放されるので選択肢の1つです。土地の売却では、まとまった現金も入るので使い道が思いつかない更地の場合には、売却は有効な手段となりえます。
しかしながら、土地の売却価格によっては損失が出る可能性があることはもちろんあります。また、仲介手数料やその他の諸経費がかかる点には気を付けましょう。
1月1日に合わせた解体・新築で税負担をおさえる
土地の固定資産税は、1月1日時点の状態で決まるため、住宅の解体や新築を行う際には1月1日を意識しましょう。そうすることで、固定資産税を大幅に軽減することができます。
解体工事で更地にする場合は1月1日以降に行うようにします。その結果、建物がまだ建っている状態で1月1日を迎えることで固定資産税が安くなるでしょう。
また、建物を建てる際には1月1日に間に合わせることが重要になります。こちらも同様に、更地の状態で1月1日を迎えてしまうと更地の固定資産税として評価がされてしまうためです。
一般的な住宅の場合、解体は1.0~1.5ヶ月、新築は3ヶ月程度で完了するため、1年間に解体と新築を同時に行うことも十分可能です。この、1月1日というピンポイントなタイミングが重要になります。
更地の固定資産税を払わないとどうなる?
建物がある場合よりも更地の固定資産税が高くなる可能性があることは説明しました。しかしながら、実際に固定資産税を払わないとどうなるのでしょうか。
更地の固定資産税は、地方自治体にとって重要な財源の一つです。そのため、納税義務を怠ると、様々なリスクが発生する可能性があります。もし、固定資産税を払わなかった際に生じる滞納時のリスクと具体的な対策を詳しく解説します。
延滞金
更地の固定資産税を納期限までに支払わないと、延滞金と呼ばれる金利が発生します。延滞金は、納税額に加算されるため、支払う金額が増加してしまうのです。
延滞金の利率は、年10.4%と高額です。例えば、100万円の固定資産税を1年間滞納した場合、延滞金は10万4千円となります。
督促・催告
納期限から一定期間経過しても固定資産税が支払われない場合、市町村から督促状や催告状が送付されることが一般的です。督促状や催告状には、納税期限や延滞金に関する情報が記載されています。
督促状や催告状を受け取っても納税しない場合は、強制徴収の対象となる可能性が生じるので必ず支払うようにしましょう。
強制徴収
強制徴収とは、市町村が納税者の財産を差し押さえたり、銀行口座から直接引き落としたりして、固定資産税を徴収する手続きです。差し押さえはあらゆる手段でなされます。
動産差し押さえ
預貯金、自動車、貴金属などを差し押さえる
不動産差し押さえ
土地や建物を差し押さえる
給与差し押さえ
給与から直接徴収する
銀行口座差押さえ
銀行口座から直接徴収する
強制徴収されると、差押さえ費用や公示費用などの追加費用が発生します。また、信用情報機関に記録され、ローンやクレジットカードの利用に影響が出る可能性があるのです。
必ずその前に納税を行うようにしましょう。
行政代執行
強制徴収でも固定資産税が徴収できない場合は、市町村が行政代執行と呼ばれる手続きを行うことができます。行政代執行とは、市町村が納税者の代わりに更地を修繕したり、解体したりして、その費用を納税者に請求する手続きです。
行政代執行されると、更地の価値が低下したり、多額の費用を負担することになります。
刑事罰
悪意を持って固定資産税を滞納した場合、脱税罪として刑事罰の対象となる可能性があります。脱税罪の罰則は、7年以下の懲役または1,000万円以下の罰金です。
固定資産税を支払わない場合には、上記のようなペナルティや罰則を受ける可能性があります。納税期限を忘れないように、カレンダーなどにメモしておくことはもちろん、口座振替を利用することや分割納税制度を利用するなど、対策を講じましょう。
もし、経済的に納税が困難な場合は、市町村に相談することをおすすめします。
参考:総務省ホームページ
まとめ
今回は更地の固定資産税について、解説させていただきました。更地は、建物がある場合のように住宅用地の特例が適用されないので固定資産税が高くなる傾向があることは理解いただけたかと思います。
また、相続した家が老朽化がひどく、空き家にしてしまう場合なども特定空家の対象となってしまうと固定資産税は高くなります。1月1日を意識して、解体と建物や農地、コインパーキングなどの土地活用を行うのも選択肢です。
みなさまの所有する土地や不動産が、みなさまの負担にならないように活用することを応援しております。あわせて、もし横浜市や川崎市、東京都内近辺で解体についてお悩みのことがあれば、是非弊社サンライズにご相談ください。
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